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テクノロジーと人手不足の考察

日銀が、10月1日に発表した「企業短期経済観測調査」所謂、日銀短観によると、大企業の人手不足感が、平成4年2月調査以来26年ぶりの水準に高まりました。平成4年といえば、宮澤喜一総理が国政を担っており、バブル景気は崩壊していたものの、まだ世の中には楽観的な見通しが強かった時代でもあります。

当時、平成4年の人手不足感と、平成30年の現在における人手不足感は同種のものなのでしょうか。背景についても、数字を基に述べてみます。


【平成4年と平成30年の人口比較】

日銀短観では、企業に対して従業員数が「過剰」か「不足」かを尋ね、その数字を指数化することで、マイナス幅が多ければ「人手不足」だと企業は感じており、逆にプラス幅が大きければ「過剰」であると感じていることを示す項目があります。

数字だけを見れば、確かに平成4年と同等の人手不足感になるのかもしれませんが、実際に労働市場を比較すると大きな違いが隠れています。

まず、労働力人口(15~64歳人口)を国勢調査を基に確認してみると、平成4年(1992年)当時は、約8,600万人の労働力人口がありました。この労働力人口が、直近平成27年(2015年)の国政調査では7,592万人、2018年段階では7,400万人台に低下していることが予測されます。

この、労働力人口約1,100万人が労働市場から消えたことが、最大の人手不足の原因になっていると推察されます。

【効率化とテクノロジーと失われた20年】

同時に、平成4年といえば高校生にポケベルが流行し始めた年であり、スマホは当然に、携帯電話もまだ一般化していない時代です。多くの企業でパソコンが本格的に使われ始めたのもこの時代ではありますが、OSのWindows 95の発売以前でもあり、双方向通信におけるインターネットによる情報のやり取りは全体の1%未満でしかありませんでした。

その様な時代でもあるので、仕事を行うためには、人間による労働力が現在よりも必要であった時代でもあります。言い換えるならば、労働集約的な要素が今よりも強かったとも言えます。そこから、パソコンを含めた急速なテクノロジーの発展に伴い、一人で出来る仕事の量も大幅に増えたことで、企業にとっては社員を減らしても仕事の質は変わらない、効率化を追求できる時代にもなりました。

また、バブル崩壊後の不景気が本格化し始めた時代でもあり、企業としては人間の代替としてテクノロジーを推進し効率化を図ることが当然であったとも考えられます。

確かに、労働力人口の減少を超えるスピードで、人間の仕事をテクノロジーが代替することが出来ていれば、現在の人手不足は起こらなかったのかもしれませんが、残念ながらテクノロジーの発展スピードを労働力人口の減少が追い越してしまった為に、今の人手不足は起きている可能性があるのではないでしょうか。

同時に、一人の人間に対応できる自動化や効率化にも物理的な限界があります。巷ではAIによって、仕事は劇的に変化するとの意見も多いのですが、国がこれほどまでに急いで外国人労働力の受け入れを進めている背景には、AIがモノになるよりも早く人手不足により多くの企業にダメージが及ぶことを見越して、経済へのダメージを軽減させる意図があるのではないかと勘繰ってしまいますが、果たして妄想でしょうか。

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