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福岡県と佐賀県・大分県・熊本県の最低賃金差から考える

最低賃金

2019年、令和になって初めての最低賃金改定があと半月に迫ってきました。

最低賃金の改定は月給制の正社員にとっては、あまり気にならないかもしれませんが、アルバイト・パートさんを中心にして業務を回している飲食・サービス業などの多くの経営者にとっては、例年この時期になると頭を悩ませる大きな問題です。 特にこれだけ人手不足の状況が続き改善が見込めない状況になると、事業形態や経営のやり方そのものを見直さなければならない企業も増えてきているでしょう。 (個人的には、まだまだ状況は悪化すると予測していますが、その話題は別の機会に。)

では早速、2019年の最低賃金改定による労働市場の変化や求人の考え方について解説してみます。

 

| 最低賃金改定による概況

福岡県の最低賃金は10月1日に改定され“841円”になります。 平成28年(2015年)10月に最低賃金が改定される前は743円でしたので、ここ4年間で金額としては約100円、13%程度上昇していることになります。パート社員さんについては、どうしても収入の上限が決まってしまいますので最低賃金が高くなれば勤務時間を短くするしか方法がありません。

最低賃金で雇用していた場合、4年前には月に115時間(20日勤務として1日あたり5時間45分)勤務してもらうことができていたパート社員さんが、今年の改定後には月に102時間(20日勤務として1日あたり5時間5分)が上限の目安になります。 月に13時間と考えるかもしれませんが、もし10人のパートの方を採用している会社があるとすれば、同じ人件費を支払っていても人員的には完全に一人少なくなった計算になります。

雇用される側からすれば収入は変わらずに勤務時間が短くなるので、パート勤務をされることが多い女性にとっては、若干の余裕がうまれることになるのでメリットが大きいですが、経営者にとってはやはり頭の痛い問題です。 企業にとっては業務量とパートさんの数が変わらなければ、勤務時間が短くなるだけ業務が溢れることになり、そこは業務の効率化を図るのか、パート社員さんの数を増やして対応するしか方法がありません。

国としては最低賃金1,000円を早期の目標に掲げています。 ここ4年間で最低賃金が100円上昇したことを考えると、早ければ2023年の改定時には最低賃金の全国平均が1,000円を超える可能性があります。 まだ4年あるではなく、たった4年しかないと考えて対策を打ち続けないと地方の中小零細企業にとっては命取りになりかねません。

ここで例にあげた福岡県の最低賃金は、全国のなかで見てみれば決して高い金額ではありませんが(全国平均は900円を超える)九州では最も高い最低賃金額です。 福岡県以外の九州各県に関する最低賃金は、福岡に隣接する佐賀県・熊本県・大分県が共に790円となり、福岡県とは引き続き50円を超える最低賃金の差が発生することになります。

隣接する各県との間の最低賃金額に50円以上の差を生じさせていることが、福岡県内の企業に通勤できる圏内に住む人が県を跨いで仕事に向かわせることになります。 この差があることを理解して有効に活用できない企業は一段と求人が難しくなる一因にもなり、上手に活用できれば求人を安易にさせることにもなります。 つまり県境にある佐賀・熊本・大分の地域の企業にとっては求人を行う上でライバルとなるのが同一県内の同業者ではなく福岡県内の同業者です。 その時間給をチェックして対策をとっていかなければ、いつまで経っても『応募者が来ない…』と嘆くことになります。

福岡県に隣接している地域(福岡県の就業場所へ通勤が可能な地域)で、時間給が最低賃金付近になる業種や企業にとっては、同じ業種・業態であっても50円以上高く求人を出している先が、求職者の通勤圏内(福岡県内)に大量に存在しているということです。 求職者もあえて低い給与で長く働きたいと考える人は稀ですので、抜本的な解決策としては2つしかありません。 2つの解決策のうち簡単な方は、福岡県内の最低賃金に合わせて求人することです。 難しい方は、その求職者の層は諦めて県の最低賃金で働いてくれる人が採用できる方法を生み出すしかありません。

 

| 福岡県の企業が考えるべきこと

福岡県内にある企業で、佐賀・熊本・大分の各県に隣接している地域の企業にとっては、福岡県内で求人するのではなくターゲットを隣県の通勤圏内の地域に絞ってしまうことがコツになります。 県内にある同業のライバルと競合しても求人内容に大きな差をつけることはできませんが、最低賃金が50円以上低くなる隣県の同業者がライバルになるのであれば、少しは有利に求人することが出来るようになります。

ここで大切になってくることは、求人や情報を細かく管理するということです。 買い手市場の時代であれば、ざっくりとした求人でも人は来てくれていましたが、正直5年前と今とではテクノロジの進化も相まって労働市場は全く違うものになってしまいました。

自社まで通勤できる求職者はどこに住んでいるのか、その地域の同業種の時間給はどの程度なのか、どのような人ならば自社の求人に興味を持ってくれそうなのか、どのような勤務形態や条件を準備すれば応募してくれるのか…。 本来これらの要素は、買い手市場であろうが、売り手市場であろうが企業としては考えておく必要があったことです。 遅かれ早かれ会社を継続させたいのであれば考える必要があることです。 経営者や人事・採用担当者は真剣に考える時期に来ていることを理解しましょう。 改善することに遅すぎることはありません。

 

| 佐賀・熊本・大分の企業が考えるべきこと

また、この考え方は福岡県に求職者を吸い取られることになる地域にとっても大切な考え方です。 逆に福岡県に地域の人材を吸い上げられるだけ、より真剣に向き合う必要があるはずなのですが、経営者や人事決裁者の方の相談に乗っていると『でも、なかなか急激な見直しは…』や『来期の課題として徐々に…』など変化させることにネガティブな反応を頂くことも多々ありますが、ゆでガエルのように徐々に自分たちの会社が茹で上げられていることに、早めに気付く必要があるのではないでしょうか。

では、それらの地域はどのように対応すればいいのか、最も手っ取り早いのは先にも述べた時間給を上げることです。 しかし、それが難しいのであれば、自社から福岡県よりに住んでいる求職者は応募してこないと割り切ってしまい、その求人にかかる費用やマンパワーを福岡県と逆になる地域に投下してしまうことです。

ここでも大切になってくるのは、やはり求人や情報を細かく管理するということです。 幸いにも求人市場に関してはマイナス要素ばかりが目につきますが、インターネットテクノロジの急速な進化が求人を安価にできるようになった点はプラスです。

大手の企業は今まで通り単純に求人サイトを利用するのではなく、最近はオウンド・メディア・リクルーティングとして、自社の求人用のメディアを持つところが増えています。 地方の中小零細企業が苦手な面がこの部分ではありますが、同時にまだライバルがほぼいないこともメリットです。 現代は、さまざまな形で情報発信をすることがが安易に、また安価に手軽になっています。 インターネットの各種サービスを利用すれば、自社の求人を見せたい地域・見せたい人などターゲットを細かく指定することができます。

これからも最低賃金が上がり続けることは間違いありませんし、求人が楽になって人手不足が解消される可能性も低い状況です。(AIなどを使わずに楽になりそうな未来予想もできますが、これもまた別の機会に)

だからこそ早めに自社独自の求人方法を始めてみる。 このことが大切になってくる時代になってきました、ぜひ自社なりの求人方法を考えてチャレンジしてみてください。


今回の記事を読んで自社の求人を考え直したい。オウンド・メディア・リクルーティングについて詳しく教えてほしい。そんな九州の企業様は CIENS の無料相談をご利用いただき一緒に考えてみませんか。

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