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中小企業の人手不足の真実

ベンハーのカード

人手不足…人手不足と多くの中小企業が悩んでありますが、中小企業は本当に人手不足なのでしょうか?

東京商工リサーチによると2018年”人手不足”による中小企業の倒産は400件発生し、前年度比28.6%増加。 またメディアでも人手不足に関する報道は相変わらず多くなされており、2020年大学卒業予定の新卒内定率も好調に推移しています。 そして2019年4月には改正入管難民法が施行され、これからは外国労働者の方が国内には増えてきます。 これらの労働市場の変化に関する情報を見聞きする限りは、確かに国内は人手不足の状況下にあり、多くの中小企業が社員を採用できずに悩まれるのも当然のようです。

しかし同時に経団連の中西会長 (日立製作所 会長) は終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提とすることが限界になっている。」と発言、トヨタ自動車の豊田章男社長も「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」との発言もありました。 最近、少しづつ話題になっている大手企業の”45歳定年制”への布石にも感じられるこれらの発言です。

多くの中小企業が抱える人手不足の悩みと、大手企業が徐々に布石を打っている45歳定年制・早期退職という、どのように考えても相反する流れの背景には何があるのでしょう?

いみじくも経団連の中西会長が発言した”制度疲労”という言葉がキーワードだと感じます。 この複雑に絡み合っている日本の労働市場について、今回はまず中小企業における”人手不足”の実態がどのようなものなのかについて書いてみます。

 

| 中小企業は人手不足ではない

日本における労働力人口は、国の人口そのものが減少していること、高齢化がすすんでいることにも相まって減少し続けています。 労働力人口の減少は、もともとの人口自体が少ない地方の方が早くなっているために、地方を拠点とする中小企業が採用に苦戦することはある意味では仕方のないことのように思えます。

しかし地方の中小企業でも、求人を出せば多くの求職者から応募がある企業も、なにも問題なく社員採用できている企業もあります。では問題なく採用できる企業と、応募者すら来ないと嘆く人手不足企業の間にはどのような違いがあるのでしょう。それは高齢化や労働力人口などが要因なのでしょうか。

結論から言えば、人手不足を解消できない原因の大半は中小企業そのものにあります。そんな人手不足に悩む中小企業の原因をイメージするのにピッタリな画像が見つかりました。

ガレー船の奴隷=中小企業の求人

アイキャッチに『ベン・ハー』のチャールトン・ヘストンの画像を載せたので、察しの良い方であればピンときていたと思いますが、求人誌やネット求人を見ていると、あまりにも多くの企業がガレー船の櫂を漕ぐ奴隷を募集するかのような求人を掲載しています。

求人内容を見ていくと、即戦力、経験〇年以上、〇〇資格保持者、ついでに一人暮らしならば毎月の支払いもギリギリで貯金なんて出来そうもない賃金で休日も少なく、将来の保証なんてしないけれど会社の為には骨身を惜しまず努力して、気力も体力も充実、尚且つ人間性が優れている…そんな人材を募集する求人ばかりです。

例えば、”即戦力””経験〇年以上”という言葉がある求人を見ると、この会社って人を育てるノウハウがないから即戦力や経験がある人を採用するしかないとしか感じませんし、その他にも掲載されていることは一から十まで企業の利益と都合のみで、求職者にとっての利益が全く感じられない奴隷労働のような求人に、なぜ求職者が応募してくると思えるのか不思議でなりません。

これだけ求職者が情報に触れることができるなかで、このような求人をどれだけ出し続けたとしても、期待するような求職者からの応募は絶対にありません。 ではどうすべきなのかについて考えてみます。

 

| 淘汰される時代の始まり

これから地方の労働市場では、人手不足により事業規模を縮小もしくは最悪の場合、倒産に至る企業が増えてきます。

具体的には、人手不足の企業(求職者が働くことで得る利益が、総合的に見て他社よりも少ない企業)の多くは、経営的に厳しいところが大半です。 それらの企業にとって今の経営環境は、2009年から経営不振の中小企業を延命させるために銀行を縛っていたルールが本年3月に解消され、また10月からは消費税増税による景気減退の可能性もあり、アルバイト・パート社員を多く雇用することで成り立っている業種・業態については、最低賃金が改定されることで人件費は増加するという状況に置かれています。

このような状況で、すでに慢性的な人手不足に悩む大手の飲食業界はメニュー数を削減させることで社員の負担を減らす、自動化をすすめる、無人化をすすめるなど矢継ぎ早に手を打ってきていますが、大手と比較すれば体力もなく、労働集約的に事業を回している地方の中小企業が、今まで通りのやり方を続けていて本当に大丈夫なのでしょうか。

この状況を続けていて今日、明日はなんとかなるかもしれませんが、1年後も5年後もなんとかなるだろうと考えるのは危険すぎます。 まず人手不足、求人しても全く応募がない中小企業はこの状況に嘆くのではなく、どうすれば求職者にベネフィットを提供することが出来るかを考えることです。 ここでいう”ベネフィット”とは、高い給与・休日が多い・福利厚生充実・制服支給・アットホームというようなメリットを並べ立てた求人を出すということではなく、求職者の立場に立って「求職者は仕事に何を求めているのか」「どのような仕事をしたいのか」を会社として考えて、その結果を元にして採用を考えなければいけないということです。

人手不足の原因は外部ではなく内部にあるかもしれない、そのことを意識して一日も早く行動を起こしましょう。 時間が経てばたつほど人手不足が原因の破綻のリスクは近づくのですから。


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