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Googleトレンドから読み解く2019年の社員採用

一部の企業を除き、多くの企業では社員確保に苦戦した一年になったのではないでしょうか。
この採用難の流れは2019年どうなるのか?

Google トレンドを使って、簡単にではありますが予想してみます。
ちなみに Google トレンドとは、キーワードとなる言葉やトピックについての、検索回数を確認することができるツールです。検索回数が多いという事は、そのキーワードについて調べられている回数が多いことを意味しますので全体的な流れを知りたい時には便利なツールです。

では、さっそく「求人」「採用」「仕事」という3つのキーワードを使って、流れを調べてみます。

結果は、非常に面白いグラフとなりました。(モバイルでご覧の方は、グラフの詳細が分かり難いと思いますが、ご了承ください。)では実際に、このグラフの内容について紐解いてみます。


【 求人の結果を読み解く 】

「求人」という単語を見ていくと分かりますが、例年同じ様な流れを辿っています。
それは、1~3月にかけて検索数はピークに向い、ピークを過ぎると8月に向けて低下していき、9月~10月に一旦上昇、そこから再度低下して12月に底を打つという流れです。これは、一年間の行事や、4月~3月の年度と合わせてみると分かりやすいです。

4月には新卒者を新入社員として迎え入れます。同時に組織的に不足している部門などに、中途採用や契約社員・派遣スタッフを多く受け入れるのも4月です。その4月1日に向けて、年明けから採用が本格化してくることから「求人」というキーワードが急激に検索され始めます。

次に、企業であれば新年度がスタートし、新しい組織体制で動き始めることで一旦は、求人については抑える方向で動く流れになります。この流れは、だいたい8月のお盆時期まで続きますので、検索ボリュームも同様に減少します。

次に企業は上期の人員状況を踏まえ、10月からの下期に向けて盆明けから対応を行うことで、再度検索ボリュームは高まります。10月以降、サービス業を除く大多数の企業では、年末年始の慌ただしい時期に中途採用などは手控えたいとの思いも重なり、求人数が減少するので並行して検索ボリュームも減少。年が明けると4月に向けての求人が増えるという大きな流れがあります。

【 2018年は何かが違う 】

この流れは、グラフを見ると分かりやすいのですが、第二次安倍政権が誕生した2012年の12月以降、得に顕著に表れていました。春先のピーク時ボリュームから25%程度ダウンさせた数値が、12月に底を迎える時点での検索ボリュームでした。

しかし、ここ5年ほど同じ流れだったものが、2018年に限ってみると、3月をピークの100とすると、12月現時点での数値は90までしか下がっていません。まだ12月が終わっていないので断言はできませんが、求人市場は多くの人が想像している以上に、売り手市場である可能性が高いことを想定しておくべきでしょう。

【 採用の検索は右肩下がり 】

次に、赤のライン「採用」を確認してみましょう。

このキーワードはよく「〇〇株式会社 採用」など、会社名+採用で検索されることが多い言葉です。春先にピークを迎えて、12月に底を打つという点は、求人というキーワードと同じ流れです。しかし、大きく違う点は春先のピーク数値が、2011年2月以降は年々下がっている点です。

2011年2月には「求人」と「採用」の検索ボリュームが同じ数値でした。そこから「求人」の検索ボリュームは増え続け、「採用」の検索ボリュームは減り続けています。2011年2月の完全失業者数は310万人、完全失業率は4.7%。比べて2018年3月の完全失業者数は173万人、完全失業率は2.5%です。失業者の数が減少するのと、同じような割合で検索ボリュームも減少していることが特徴です。(完全失業率は2011年2月から2018年3月比で約56%へ、検索ボリュームは同じく58%になっています。)

【 仕事の検索は2倍に 】

「仕事」というキーワードについての検索は、若干上下の動きはするものの、常に右肩上がりで推移しています。2011年前後と検索ボリュームを比較すると2倍程度に増えています。但し、この「仕事」という検索キーワードの特徴としては、「仕事 ない」「仕事 辞めたい」「仕事 つらい」などのネガティブな文言が多く含まれていることがポイントです。

実際にキーワードを基に検索してみると「仕事 ない」は、”仕事が見つからない”という検索以外に、”望む仕事がない”、”興味を持てる仕事がない”などのサイトが上位表示されています。情報量が増え続けていることで、選択肢が増えすぎて、求人と求職者のマッチングがうまくいっていない面もあるのかもしれません。

【 2019年はどうなる? 】

これらのトレンドから読み取れることをザックリと言うならば「求人の量は更に増え、求職者の要望は更に高くなるにも係わらず・人数は減少、社員の退職は増える」といったところでしょうか。求人を行う企業側の立場からすれば何の救いもありませんが、厳しい採用活動を強いられることになることを理解したうえで採用計画を考えることと、無為無策に行き当たりばったりの採用活動を行うことは全くの別物です。

この状況を理解したうえでどのように採用を進めるのか、全国的にネームバリューのある企業の採用担当者以外にとっては、知恵の出しどころになるかもしれません。

ひとこと
「最善を信じ、最悪を想定し、中庸をいく」…最善の結果になることを信じつつ、同時に最悪の状況を想定しておくことで、ちょうど良いバランスの結果になることの例え。社員採用活動についても当てはまるのではないでしょうか。

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