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新入社員を辞めさせない初日の心得

前回も、述べましたが Googleの社内調査によりますと、入社日の初日に受け入れ態勢を整えておくことは、その後の3カ月間の作業効率が3割高まるそうです。

新卒について、大手であれば研修を含めてしっかりとした受入れ体制を整えている企業も多いのですが、中途採用を含め、社員採用が多様化しているなかでは、どのように受け入れ態勢を整えるべきでしょうか。

11月11日のブログで、社員の退職を防ぐために大切な初日の心得について、制服や備品の準備など、どちらかといえば物質的なハード面の要素について述べましたが、今回はソフト面の要素について述べてみます。

社員の退職を防ぐ初日の心得11月11日 ブログ

【 大事な得意先をイメージして考える 】

まずイメージしてほしいのですが、表面的なことは理解しているが、詳しい業務のことは全く知らない大手得意先の重役が会社に訪問してくるとします。この訪問時に会社のことをどれだけ知ってもらえるかで、会社の浮沈が決まるとなったときにどのような準備をするでしょう。

工場であれば、何をどのような目的で製造しているのか理念や目標も織り交ぜながら説明しつつ、全体的な製造工程の流れも理解してもらった上で、次に詳細の製造ラインの見学などに進むはずです。間違っても到着と同時に製造工程を案内して、製造工程で守るべき注意事項などを説明することで会社のことを理解してもらえたとは思わないでしょう。

また小売店であれば、バックヤードを案内して商品の開梱方法や、売り場での陳列方法を説明して会社を理解してもらえたとは間違っても想像しないでしょう。

新入社員の入社初日だけでなく中途社員の入社日も、大手取引先重役に対する対応と同じ準備をする必要があります。なぜなら入社してくる人は、会社の名前や資本金、代表取締役の名前、本社所在地、業務内容などホームページや会社四季報にある程度の知識はあるかもしれませんが、それ以上のことを知らないからです。

表面しか知らない人に、間違ってもミクロな説明から始めてはいけません。大手重役をバックヤードから案内し始めないことと同じ様に、新しく入ってきた社員にも、まずは基礎的なことから説明を始める必要があります。 以前、とある企業でこの話をしたときに「取引先重役と侵入社員では扱いが違って当然でしょう」と反論されたことがありましたが、社員は雇用してやっているから軽く扱っても構わない、その考え方そのものが社員が定着しない原因であることを理解できないうちは、改善は見込めないことは再度ご理解ください。

 

【 基礎となる会社文化から始める 】

表面的な情報しか知らない社員を受け入れる時に、まずやるべきことは「会社の理念・目標・歴史・風土」など最近では古臭いと思われがちな点から説明し理解してもらうことが大切です。なぜなら、どのような会社であれ組織には、大なり小なり一般社会とは違った会社独自の文化があります。この会社文化は、ホームページや会社四季報などの表層的な情報からは分かりません。

働いている人にとっては当たり前になっていることも、そのことを全く知らない新人からしてみれば異様に映るかもしれません。この会社文化を理解させていなかったことが、後々ギャップとなり退職の火だねになることは多々あります。だからこそ、まず会社文化となる点を説明し、インターネットの情報からは見えてこない部分を理解してもらうことが大切になってくるのです。

 

【 目標のすり合わせ 】

次に大切なことは、会社と新入社員の相互が目標を完全に理解し合うことです。

まず、新入社員が就く仕事の最終目標とは何なのかを明確に説明し完全に理解してもらいます。ここでいう”完全”というのは、疑問や質問が完全になくなるまで、丁寧に説明を繰り返すということです。一通り説明したから会社側としての義務は果たした、あとは理解できなかったら本人の責任、そのような考え方ではまた退職に繋がります。あくまで理解してもらう責任を負うのは会社側です、間違っても新入社員ではありません、新入社員が理解してくれないのは説明そのものがダメだったり、低レベルだからなのです。

確かに説明し理解してもらうことの難しさは理解しますが、新入社員が理解しないから悪いという考え方は、退職しても退職した社員が悪いという考え方にスライドします。この考え方から会社が脱却しなければ、いつまで経っても社員の定着は改善しません。このことは非常に重要なので必ず理解しておいてください。

 

【 目標の細分化と共有 】

次に目標の細分化を行います。これは新入社員の最終目標を細かく分解して、小さなステップに分けることです。例えば時間をベースにして考えるのであれば、入社から1週間の目標はここまで、1カ月の目標はここまで、3カ月の目標は…といった具合に小さなステップに切り分けていきます。この目標をお互いにまずは完全に共有することが大切です。この”完全”にというのは、前項で述べたことと同じ意味であることは言うまでもありません。

次は入社初日ではありませんが、目標として設定した日付が来たら、必ず会社側の担当者は目標の達成度合いについて、新入社員と打ち合わせをします。ここで絶対にやってはいけないことは、担当者に他の用事が入ったから日付を変更するということです。会社の浮沈のカギを握る来客があるのに、その来客をほったらかして別の用事を入れますか。そのことと同じくらいに大事なことであることを理解して下さい。

なぜなら、新入社員にとって日付を変更されるということは、この会社は言っていたことと、やることの間に違いがあり、尚且つ自分を軽んじている会社であるということを暗に仄めかすことになるからです。また目標というものは守らなくてもいいものだと刷り込んでしまうことにもなります。だからこそ絶対に目標と定めた日にちの打ち合わせを変更してはいけません。

【 最後に 】

だいたい、新卒研修を行う場合でなく、単に新しく社員を雇用する場合の初日はここまでのところで一日が終了するはずです。

ここまでで二時間程度しかかからないと思われた会社の方が、もしもいらっしゃった場合には、貴社はそんなに薄っぺらな内容しかないのですかと逆に質問するかもしれません。と同時になぜ定着がよくないのか、その原因の一端がその点に表れているのは間違いありません。今一度、社員採用の一日目について考えてみませんか。

 

ひとこと
【最初を大事にすると楽になる】…試合の中では「最初」「ひとつめ」が常に大切だ。野球の試合の中で「ここがポイント」ということには「最初の1つ」がかかわっているものがたくさんある。 野村克也「運」より抜粋

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