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人材派遣会社が”人手不足”で倒産する原因と倒産しないための対策

社員採用の変化の時

帝国データバンクが、人材派遣会社の”人手不足”による倒産が増えていると発表しました。確かに中小の派遣会社が倒産したという情報を見聞きすることがあります。

巷では”人手不足が深刻化”というニュースが流れるなかで、人材を武器にビジネスをしている派遣会社が倒産しているというのは笑えない冗談のようにも感じますが、中小の派遣会社が倒産する仕組みは、だいたい以下のようになります。

“人手不足で応募者が減少 → 採用経費が高騰 → スタッフの退職が採用を上回る → 在籍スタッフが減少 → 売上高が減少 → 資金繰りが悪化 → 倒産”

人材派遣会社が人手不足で倒産する仕組み

いまの人材派遣業界のビジネスモデルそのものが、市場と社会的な環境にマッチしていないので、強みのない中小の人材派遣会社の多くは淘汰され、大手のみが生き残る流れになると予想はするのですが、倒産する派遣会社が増えるとそこで働いているスタッフを含め大きな迷惑をかけることにもなるので、中小派遣会社が抱える問題点と取り組むことができる対策について少し考えてみました。

 

| 人材派遣会社のビジネスモデルは難しい

まずは、人材派遣というビジネスモデルが、いまの時代に合わなくなってきている点から考えてみます。

税務や会計に特化した情報サービスを行っているTKCという会社のことをご存知ですか。 このTKCのウェブサイトでは、TKCと取引をしている企業の経営成績と財政状態をBAST(TKC経営指標)という形にまとめて発表しています。 基本的には会員向けのサービスですが、会員でなくても要約版を閲覧することは可能なので、気になる方はリンクを貼っておきますので一度ご覧ください。(TKC BAST)

このデータで”労働者派遣業”を確認してみると、人材を扱っている業種なので言い方としては悪いのですが”薄利多売”の構造が見えてきます。 世間で考えられているほど儲かっている業種ではありません。

この構造は、安価に都合よく人材を使いたい企業の思惑と、なかなか仕事がない多くの求職者に仕事を紹介することができたデフレ経済下の買い手市場だからこそ成り立っていたビジネスモデルで、現在のように売り手市場の環境では、もともと難しい仕組みです。

派遣会社事業所数の推移
【一般社団法人 日本人材派遣協会 「派遣の現状」より転載 】

同時に大手の人材派遣会社は、国内における派遣黎明期から事業をはじめている企業が多いので、実績もあり派遣先にも大手企業を多数抱えるなど、契約内容についても良い条件で取引を行えているところも多いのですが、2004年の製造派遣の解禁後に開業した中小の派遣会社は、同時期にライバルが急速に増えたために、開業と同時に血みどろの戦いを余儀なくされ否応なく価格競争に晒されたために、もともと経営に余力がありません。

また根本的な問題として、直接雇用のリスクを避けるために経費が掛かっても派遣を利用した大手企業とは違い、製造派遣解禁後に派遣を導入した派遣先企業の多くが、雨後の筍のごとく増えた派遣会社を競わせることで人件費も抑えつつ、採用リスクも減らし、同時に雇用の調整弁として都合よく派遣という仕組みを利用してきました。

このように元々、デフレ下の買い手市場だから成り立っていただけのビジネスモデルなので、一旦、売り手市場に転じてしまうと、その先に待っているのは資本力のない中小派遣会社の倒産という結果だけです。

 

| 中小の人材派遣会社は採用の仕組みを変化させるべき

人口減少と高齢化(若年層の減少)、仕事に対する意識の変化がすすむなかで、今まで通りの派遣ビジネスモデルは通用しません。 とくに中小の派遣会社は急速に厳しい状況に追い込まれることが予想されます。

では、どのように中小の派遣会社は対策すべきなのでしょうか? まず最初にやるべきこととしては、採用経費を削減するために、インターネットを使った採用を強化することです。 インターネット最大のメリットの一つは、言うまでもなく”費用が安い”ということです。

このように書くと、そんなことは分かっているし、いまでもindeedなどのネット求人は活用できている。と反論を頂きそうですが、ポイントとなるのは既存の仕組みを利用することではなく”自社独自で採用する導線を構築する”ことです。

この採用手法のことを、オウンド・メディア・リクルーティングと言います。 もう少し詳しく説明すると、自社で所有するメディア(オウンド・メディア)である、採用サイトやSNSを使って採用活動(リクルーティング)を行うということです。

オウンドメディアリクルーティングのメリットとしては、

  • 仕事の魅力をより伝えることが可能
  • 既存の求人媒体よりも費用対効果が高い
  • 続けることで改善効果が更に高まる

このような点を挙げることができます。もう少し詳しく説明してみましょう。

 

| オウンドメディアリクルーティングのメリット

仕事の魅力をより伝えることが可能
インターネット求人媒体にしても紙媒体の求人誌にしても、掲載できる内容・情報量や写真などに様々な制限がありますが、自社のメディアであれば、情報量を気にすることなく増やすことが可能ですし、さらに写真・動画を活用するなどして、より派遣先の業務が持つ魅力を伝えることができます。

また新規営業先に提案する際にも、当社は独自の採用メディアを持っているので御社の仕事の魅力を伝える募集をすることが可能です。と伝えるのと、一般的な求人媒体を使って募集をします。と伝えるのでは、派遣先はどちらと契約したいと考えるでしょうか。

既存の求人媒体よりも費用対効果が高い
既存の求人媒体については掲載する求人数や期間が長くなれば、それだけ費用もかかることになります。また応募があってもなくても掲載期間が終われば、後には何も残りません。

自社で求人メディアを持てば、求人をどれだけ増やしたとしても費用はほぼ一定ですし、レスポンスが期待ほどでなければ期間を長くすることも問題ありません。 また派遣先からの人材の要望について、費用をかけてまで募集するには微妙な要望があったときも自社の求人メディアであれば対応することが可能です。

続けることで改善効果が更に高まる
例えば、求人誌ならば一旦掲載してしまうと後で内容をこうすればよかった…と気付いたとしても後の祭りですが、自社の求人メディアであれば改善を続けることで反応率を高めることが可能です。

また Google サーチコンソールや、Google アナリティクスを活用することで、どのような検索キーワードで求職者が求人内容に興味を持ったのか、サイトのどの部分に問題があるのかを把握することも出来ます。 これらの情報を元に自社のメディアを改善していけば、更に効果を高めることに繋がるのです。

 

| さいごに

人手不足の波は多くの派遣会社にとって深刻な問題です。 この波を乗り切ることが出来なければ会社は確実に衰退局面を迎えるはずですし、そうであって良いはずはありません。 同時に今までのやり方を続けていても、この状況を乗り越えることは困難なはずです。

大手にはない、小回りが利く中小の派遣会社こそ早めに変化を起こして、人手不足の大波に備えるべきタイミングではないでしょうか。 オウンドメディアリクルーティング、自社の求人サイトの構築などご質問がありましたら、弊社CIENSの無料相談をぜひご利用ください。

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