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社員が採用できない構造的問題と対策

「社員募集しても全く採用できない。」「 採用経費をかけても応募すらない。」「採用できても退職が発生して状況の改善ができない。」、多くの企業様との打合せの中で採用できない苦悩をお伺いします。

この問題をきれいさっぱり解決する方法が果たしてあるのでしょうか。正直に申し上げますと簡単に解決する方法はありません。

唯一、企業にできることは、まずは状況を正確に理解したうえで対策を打ち続けることだけです。その結果はゆっくりとした改善にしか繋がりませんが、手をこまねいていると確実により悪化に繋がります。 2019年に状況がより一層悪化しないためにも、まずは社員が採用できない理由を把握した上で、改善策を考えてみましょう。

求人と求職のミスマッチが原因

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 均衡失業率・需要不足失業率 2018年12月3日発表より抜粋

 


【 需要不足失業率とは? 】

完全失業率という言葉は多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。
簡単にいうならば、働きたいと思っている人の数(労働力人口)のなかで、職はないが求職活動をしている人(完全失業者)の割合を表す指標です。ちなみに2018年10月の完全失業率は2.4%です。

では、図にも示されている「需要不足失業率」とは何でしょう。この言葉を聞いたことがある人は、かなり少なくなると思われます。これを簡単に説明するならば、求職者がなりたいと思っている仕事と、企業が社員を採用したい仕事の間にある思惑のズレ、すなわち「雇用のミスマッチ」を数値的に表す指標です。

例えるなら事務職を希望している人に対して、製造業の仕事が数多くあったとしても両者が合意できる可能性が低いことと同じです。完全失業率が高止まりし、年越し派遣村が報道されていた2008年~2009年頃であれば、望まぬ仕事でも仕事がないよりはマシとの考えもあったのでしょうが、2018年現在の求職者は仕事そのものがないというよりも、希望している仕事がないことで失業状態にある人たちが一定数いるために企業にとっては、より一層応募がない、採用ができない状態にあることを、まずは理解しておくべきです。

このことを表しているのが、上の図にある需要不足失業率です。 2015年の中盤以降、雇用のミスマッチは拡大したままになっています。このマッチングしていない求職者に対して、自社の仕事に就いての興味を持ってもらうためにはどうすればいいのでしょうか。
次は、その点について述べてみます。

【 情報発信がポイント 】

多くの求職者が仕事を選ぶうえで判断基準となっているのは、業界や業種、職種に関する一般的なイメージが基になっています。そのイメージを形作っているのは、主にテレビなどのメディアが流している情報により形成されています。決して、個別企業における現実の仕事内容や業界の本当の姿を知った上でのイメージではない点を、まずは理解しましょう。

例えば介護サービスに対するイメージを例にとってみると、ポジティブなイメージとしては、社会的な意義が大きい・業界の成長が期待できる・資格や知識を活かすことができる・やりがいのある業界といったあたりが上位にあります。 逆に、ネガティブなイメージとしては、体力や精神的に厳しそう、給与水準が低そう、他人との関わりが大変そう、離職率が高そうといったあたりが上位になっています。

これら、一般的に持たれているイメージ(特にネガティブ面)の大部分は、現実の仕事風景を見た上でイメージしたのではなく、メディア等での報道やドラマで見た映像やニュースが基になっている場合が多くないでしょうか。

例えば、あえて名前は伏せますが、とある企業が12月あたまに発表した「介護業界の離職経験者に実施したアンケート」では、3年未満で介護業界から離職した人の割合が6割となっていました。この報道を求職者や一般の人たちが見ると、3年以内の退職率6割ということは離職率も著しく高いので厳しい業界なんだろうと想像しますが、「」内を読んでもらうと分かるように、もともと介護業界を離職した人に対して実施したアンケ―トなので、離職した人の割合自体が100%と恣意的な面が見受けられます。

このような偏った情報に接している求職者からすると、厳しい仕事であるイメージだけが先行してしまいます。 これは人手不足に悩むすべての企業において同様です。勝手なイメージだけが先行してしまい、現実の仕事と則していないと感じる企業ほど、正確な情報発信をすることで求職者に「思ったよりも、この仕事悪くないかもしれない」と、自社や業界に目を向けてもらうことが、まずは求職者の応募を増やすための第一歩です。

【 求職者の情報収集手段から考える 】

下のグラフを見てもらうと、求職者はホームページや社員採用ページ、クチコミサイトや企業に関するクチコミなどを基に企業の雰囲気を掴んだうえで間違いない選択(就職)をしたいと考えています。

求職者が企業に関する情報を収集する際の手段

さきほどの介護業界であれば、ホームページ上で、多くの人たちが持つ業界に対するポジティブなイメージを更に向上させ、ネガティブなイメージを減衰させることが大切です。 但し気を付けるべきポイントとしては、虚偽の内容は絶対NGです。 例えば「介護の仕事は肉体的にも、精神的にも楽で楽しい職場ですよ」と謳うことは絶対にやってはいけません。 書くならば、肉体的に辛いことや精神的に辛いことは他の仕事と同じ様にある、でもその辛さを乗り越えることができる仕事の意義や、やりがい等と組み合わせた内容にすることが大切です。

また重要な点は、ホームページを見てもらうにしろ、クチコミの評判を確認してもらうにしろ、その前に自社を知ってもらい検索をしてもらう必要がある点です。 確かに求職者にホームページを見てもらうことで、選択肢の上位にしてもらうことは大切なのですが、同時にホームページを見てもらうために何をするのか、そのことの方が大切なのです。言い換えるなら、導線構築ができていない充実した内容のホームページを作っている企業には、いつまでたっても応募がないということにもなります。

多くの企業がホームページの内容を充実させて求職者へのアピールを行っていますが、導線にまで気を配っている企業はまだ多くありません。この導線をどのように構築していくのか、人手不足に悩む企業にとってポイントになるでしょう。

【 ホームページを見て応募してもらうために 】

では、どうやってホームページを見てもらえばいいのでしょうか。 そのためには、まず社員の一人ひとりが応募してきたときにホームページを見た方法を確認することが簡単な割には効果が期待できます。 何人かに話を聞いていくと、いくつかの導線が見えてくるはずです。 例えばハローワークの求人票の情報からホームページを見た人が多ければ、ハローワークの求人票の出し方、記載する内容により注意を払うべきですし、indeedなどのネット求人からであれば、その点を強化した方がよいということです。

また基本的な考え方としては、求職者が仕事を探す方法は多様化しています。 自社の求人情報に触れてもらうためには、常に複数の導線を考え実行していくことが大切になってきます。2019年まだまだ企業にとって、社員採用の冬の時代が続くことが確実です。大企業以上に採用が厳しい地場の中小企業こそ、誰もが知る有名企業以上に情報発信を行う必要があることをいま一度、理解したうえで採用計画を立てることが大切です。

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ひとこと
「段取り八分、仕事二分」…仕事をするうえで段取りの大切さを説いた言葉です。社員採用においても、求職者の行動を考えず、やみくもに求人だけ出して、応募がないと嘆くようなことになっていませんか。もう一度、自社の採用に関する導線も含めて考えてみましょう。

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