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人材派遣業の倒産増について考える

平成30年4月の帝国データバンクの発表によると、人材派遣業の倒産が前年度比較28.1%増という結果となっています。 企業全体の倒産件数は、前年比2.6%となってますので、母数の違いや他の条件を勘案しても、やはり割合としては高いと思われます。

人材派遣業のビジネスモデルは単純で、派遣スタッフの方を募集、採用し、派遣先企業で勤務いただくことで、収益を得るというものです。 この仕組みで倒産件数が増加していることの最大の要因は、労働力人口の減少、有効求人倍率の向上により、スタッフ採用がままならなくなった事が原因と考えられます。

また、表面に出てこない理由のひとつに、求職者の「派遣離れ」が挙げられます。デフレ環境下の景気が低迷している状況であれば、求職者としても仕事に就くために、派遣スタッフとしての働き方も選択肢のひとつとしてあったと思いますが、直接雇用の募集が増えてくることで、あえて派遣を選択しない方達が多くなっています。

他にも派遣については、何かあれば簡単に雇止め、派遣先で勤務しているスタッフをほったらかす派遣会社など、中抜き・口利き屋と言われてもいたしかたない業界が抱える質の問題もあります。 一度でも派遣で働いて、派遣という仕組みのために嫌な思いをしたことがある人が、再び派遣で仕事をしようと考えるでしょうか。この「人の感情」を軽んじてきた結果が、今の状況に陥った原因でもあるはずです。

「好事門を出でず、悪事千里を行く」という言葉があるように、よい行いは世間になかなか広まりませんが、悪い行いはあっという間に世間に広まります。派遣業界が、今の状況を打破することが出来るのか、それとも業界が沈下をしてしまうのか、自分たちの仕事がモノを取り扱っているのではなく、感情を持ったひとりの人間であると意識改革が出来るか否かに、ポイントがあるのではないでしょうか。

また、上記のことは人材派遣業だけでなく、一般企業にも当てはまることです。社員採用に苦戦している企業にこそ、原因が社会的なマクロな要因にあるのか、自社組織にも問題が隠れているのか、一度考えてみる機会にしてはいかがでしょうか。

 

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