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ベトナム人と一緒に働くための3つのコツ

以前、技能実習生といえば中国人をイメージすることが多かったのですが、2017年に日本に技能実習生として来たのは、ベトナム人が6万人を超えてトップとなっています。

徐々に身近な存在になっているベトナムの人々。もともとの文化も言葉も違うベトナム人と一緒に仕事をしていく上で、受け入れる日本人が理解しておきたい国民性や仕事の進め方などについて述べてみます。


 

【 自尊心を尊重する 】

何千人ものベトナム人と仕事をした訳ではありませんが、個人的に知る限りでは技術研修生の方も含めて、強いプライドを持っている方が多い印象です。 実際「ベトナム + 国民性」などで検索をしてみると、自尊心の高さについての記載が目につきます。

このことから、日本人として注意すべきことは「自尊心を尊重する」ということです。中国人のメンツを重視する国民性にも若干通じますが、例えば技術研修生がミスをした場合、同僚の前で叱りつける、失敗を社内で喧伝するなどは絶対に避けるべきです。プライドを傷つけてしまうと、失敗の本質ではなく恥ずかしい思いをさせられたという感情的なわだかまりが強くなってしまい、逆に失敗に対して向き合うことが出来なくなります。(この点は、日本人の新入社員も同じかもしれません。)

プライドを持って仕事にあたる傾向として「納得をして仕事をしたい」という面もあります。「言われたとおりにやりなさい」ではなく、「なぜこの様にしなければならないのか」、「このようにする目的は何なのか」、その点をしっかりと説明して納得してもらうことが、お互いに気持ちよく仕事をするためには大切です。

社員教育がうまくない企業では、言わなくても分かるだろうという勝手な思い込みが説明不足に繋がり、ミスや失敗が頻発する例が見受けれられますが、日本人同士でもトラブルに結び付くコミュニケーションの不足。言葉も文化も違うベトナム人に、その受入れ企業の甘えは通用しないので、マニュアルの完備を含めて説明と準備が大切です。

同時に、自尊心が高いということは叱って発奮させるのではなく、褒めて伸ばしていく指導が向いています。小さな課題を数多く設定し、その課題をクリアすることで成長を促す方が期待できます。

【 給与・環境・スキルを重視 】

ベトナム国として、国内の転職活動についての情報発表はありませんが、民間による調査では、ベトナム本国20代の7割超が1度以上の転職を経験しているという結果が出ています。

日本とベトナムで、会社を選ぶ際に重視していることを比較してみると、日本人が重要視しているのは「給与・労働時間・仕事内容」が上位なのに対して、ベトナム人は「給与・環境・スキルが活かせること」が上位になります。逆に、日本人が重要視している労働時間や仕事内容について重視しているベトナム人は、半分以下しかいません。(スキルが活かせることを挙げた日本人は、ベトナム人の2割しかいないので、逆に心配にはなりますが…。)

ここから考えられることは、ベトナム人が重視するのは「しっかりとした給与と環境があれば仕事内容は気にしない、その環境で自らのスキルは活かしたいし、そこから更に成長したい」という、仕事に対する前向きさです。

ここには、ベトナム人「4K」の国民性のひとつ「向学心」が関係しています。(ちなみに4Kの残りの内容は、カカア天下・器用・近視眼です)

仕事が終わった後、更に勉強をしに行くことも普通にある国民性。この向学心旺盛な前向きさを、どのように伸ばしていくのかが日本の企業に求められています。( 弊社取引先の技術研修生も、休日に日本語を教えてほしいと社員に頼むことが多いと聞きます。)

入管難民法の改正が、どのような内容になるかはっきりしない面もありますが、仕事に対する前向きさと同時に、給与・環境を重視し、転職に対するハードルの低いベトナム人達に、社内の技術を学ばれ技術者として育った数年後に他社に転職されるということがない様に、先々まで見据えておくことが必要です。

【 締切が苦手な面をフォロー 】

ベトナム語には、英語にあるような時制がありません。例えば、英語の動詞にある様な過去形などが言葉自体にありません。そのことが関係しているか否かは分かりませんが、締切時間について苦手にしている面が見受けられます。

例えば、ルーチーンの業務について「この仕事できますか」と質問した場合、日本人であれば、この仕事内容は何時までに完了させる必要があると見越して返事をすることが多いですが、まだ日本に慣れていないベトナム人の場合、その仕事をする能力があるか否かで返事をする場合があり、時間までに出来ずトラブルに…という事例があります。また感覚的に判断してしまい、締切までに終わらないという場合も見受けられます。

このようなトラブルを避けるためには、できるだけ具体的に「何時までに、この作業をできますか」と、若干の時間的な余裕を持たせて指示をする方が、うまくいきます。自分自身の作業効率と時間の関係について、把握できていない場合もありますので、その点は指示をした日本人が当初はフォローをしていくことが重要になります。

ただ器用さ、向学心の高さを持つ国民性のベトナム人なので、慣れるまでの期間と考えて対応しましょう。

【 昭和の日本人? 】

プライドが高く、向学心を持って仕事に取り組むことが出来るベトナム人は、昭和の日本人のようだ。と印象を持たれることも多いようです。

最近の日本人には敬遠されつつある、会社の飲み会や社員旅行ですが、ベトナム人は意外に大好きな人が多い印象です。同時に、仕事以上に家族を大切に考える人の割合が高い国民性が「会社=共同体」として昭和的な日本人像をイメージさせるのかもしれません。

但し、それでいてドライに割り切って給与の高い方に転職するという決断も出来るベトナムの人々。もしかすると就業意欲の低い日本人よりも、よほど戦力になってくれるかもしれません。文化や言葉の壁を乗り越えて頑張ってもらえるためにも、受け入れる日本側企業としてのコツを理解しておいてほしいものです。

ひとこと
【私たちが他人に関心を持つ限り、他人も私たちに関心を持つ】…トルコの諺。

 

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