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5.132018
政府ひきこもり調査とローボールテクニック
内閣府が、40~60歳頃までの高年齢化している「ひきこもり」の方々について、実態把握のため初めてのアンケート調査を行うことを発表しました。
40歳以上ということであれば、バブル崩壊から1990年代後半の就職氷河期に社会に出てきた、いわゆる団塊ジュニア世代が含まれている年齢層になります。失われた20年のデフレ期を過ごすことになった世代でもありますので、全てを自己責任という言葉で片づけることは、出来ない面もあると思われます。
人手不足だからと、安易に就業場所を紹介すれば解決できる問題でもありませんので、一人、一人に応じた社会復帰の道筋を、心理学でいわれる「ローボールテクニック」なども織り交ぜながら、本人が取り組める点から、小さなハードルを少しづつクリアしていくことが大切になってくると考えられます。
国が施策を組むにしても年度予算に応じて、一年毎になんらかの結果を出すような取り組みではなく、40~60代の世代が迎える10年後、すなわち50~70代になる時点で、改善が見えてきた程度の緩やかな目標を設定しなければ、うまく解決できない問題であると考えます。
会社組織においても、様々な理由から「やる気」を失った人を、短期間で生まれ変わらせようとしたり、元に戻そうと無理に負荷を与えようとする企業も見受けられますが、人には心理的に一貫性の原理が働きます。徐々にやる気を失った人も、そして長い期間ひきこもった人についても同様に、今の状態に置かれるまでにかかった期間と近しい時間が回復するためには必要となります。
そうならない為に大切なことは、やる気を失ったり、行き詰まっている社員を放置することがないように、一日も早く「気付き」しかるべき対応を取るということが肝心です。
また、引きこもっている方については、引きこもり始めた時が最大のポイントです。何年も経ってから慌てても、残念ながら即改善できる可能性は低くなります。テレビドラマで長い間、閑職に追いやられていた人が、起死回生の活躍をする様な話がありますが、現実世界でその様な話を聞かないのは、何年もかけてやる気を失わせるような状況に追い込んでいるからです。
貴社では、やる気が下がっている社員について、早めのフォローアップは出来ていますか?