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応募がないと嘆く前に考え直すべきこと

思い通りにいかずに嘆く姿

企業の採用・人事担当者の方と話をしていると『さまざまな求人媒体紙面に、求人を出すのですが反応がありません。』という声を多く聞きます。(九州も福岡の中心部をちょっと離れると、まだまだ紙の求人媒体が多く活用されています。)

そこで「掲載された求人誌、一通り目を通してありますか?」という質問を差し上げると、9割以上の担当者が目を通していないと返事されますし、ひどい場合には自社の求人ですら目にしていないということもあります。掲載している求人誌に目を通すことはもちろんですが、掲載していない求人誌にも目を通した方がよい…いや採用担当であれば通すべき理由を今回は述べてみます。


| 合衆国大統領から学ぶ

ここではまず、第18代アメリカ合衆国大統領ユリシーズ・S・グラントを例に説明してみます。日本ではあまりメジャーな大統領ではありませんが、下のドル紙幣写真の一番上であごの辺りで見切れてしまっているのが、ユリシーズ・S・グラントです。(ちなみに、20ドル紙幣はアンドリュー・ジャクソン第7代合衆国大統領、10ドル紙幣はアメリカ建国の父と呼ばれる人物のひとりアレクサンダー・ハミルトン、そして5ドル紙幣はご存知有名なエイブラハム・リンカーンです。)

アメリカのドル紙幣

彼は大統領になる前、南北戦争(英語ではシビル・ウォー。ちなみにキャプテンアメリカとアイアンマンが戦った2016年映画の原題もここからきています。)において北軍の司令官として活躍し勝利に導いた司令官として有名です。また側近に優秀な軍の司令官がいなかったために大統領再選が危うくなった、エイブラハム・リンカーンのピンチをを救うこととなった人物でもあります。

そんなユリシーズ・グラントの強さの秘密は、戦場となるであろう場所・地形・環境に関する緻密な調査の裏付けにあったと言われています。 彼の回顧録は、実際の戦闘に関するものと比較にならない分量で地政に関する記述があるそうです。そんな自らが戦う場所について知り尽くしていたからこそ、相手方である南軍の戦術についても予測ができ、予測ができているからこそ、その対策も打つことが可能となり、戦場では不可避な予想外のできごとに対しても対策を打ち、最終的に北軍全体の勝利へと導くことになったのです。

グラントが地理や環境に興味がなかったならば、もしかすると南軍が勝利しアメリカの歴史は全く違ったものになっていたかもしれません。

| 孫子の有名な言葉から考える

また、紀元前500年頃の中国春秋時代に活躍した軍事思想家である孫子も「謀攻」のなかで『彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し』と書いています。このことを求人に置き換えて考えてみると…

 

『敵を知り己を知れば百戦殆からず。』

採用したい求職者のイメージと重複する他社の求人は全て敵です。そのライバルの求人内容を詳細に確認し、給与・休日・福利厚生・会社規模・の違い。どの様な点をアピールすることで求職者の注意を惹くことを考えているのか。それに対し自社では、求人をどのような求職者に見てもらい、どのように魅力を発信し注意を惹いて応募に結びつけてもらうのか、そのプロセスまで考え抜いていれば採用確率は高まるでしょう。

 

『彼を知らずして己を知れば一勝一負す』

自社の求人掲載については考え抜いたものの、競合他社のことを深く考えることをせず求人を掲載していれば、その不足に応じて確率は低下するでしょう。

 

『彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し』

求人を真剣に考えはじめると、採用を専任でやっているのでもない限り時間はいくらあっても足りません。そんな状況でひとまず校正して掲載する求人は、給与・勤務時間・休日などの情報が羅列されているだけ。

キャッチコピーは『アットホームな職場です!』と、多くの人がこの求人を見たら、ブラックだ…この会社はないなと感じるような求人を、わざわざ費用を支払って掲載することになります。

ちなみに、ダウンタウンの松本人志さんがコマーシャルをしている、某求人誌には毎週約350前後の求人が掲載されています。350社のライバルに負けてないと言える求人を考え抜けていますか?

| 佐賀県鳥栖市を例に解決策

もう少し具体的に説明すると佐賀県鳥栖市には九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道が交わる鳥栖ジャンクションがあります。

地理的に九州各県に動きやすい環境にあることも手伝って物流業や倉庫業に関する企業が集積している地でもあります。 九州以外の方には、Jリーグのサガン鳥栖のホームがある都市と言った方が伝わりやすいかもしれません。ちなみにAmazonの九州における起点となる唯一の倉庫もここ鳥栖市にあります。


そのような物流・倉庫業の要所であるにもかかわらず人口72,000人、労働人口32,000人と小さくはありませんが、決して大きな都市ではありません。 そんな地方の都市が持つキャパシティを大きく超える数の物流企業が集まってしまったために、ここ数年、鳥栖市の物流企業の採用は完全に血みどろの戦いに明け暮れるレッドオーシャン化してしまいました。

直近の求人誌をめくって情報を数えてみると、鳥栖市の物流ドライバーに関して求人を掲載している企業の数は59社。このような状況にも係わらず求人掲載の仕方、キャッチコピーも似たり寄ったりで、よくよく見てもA社とB社の違いが理解できないレベルです。

このことは、多くの企業が『彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し』の状態。ライバルは多くとも、競合しているレベル的にはそれほど高くないということです。

すなわち求人を掲載する前から負けに等しい状態で、せっせと求人を出し続けていることに他なりません。より現実的に言い換えるなら、他社を観察し求職者の目につく求人を作ることに取り組んでいる企業の求人は、しばらくするとなくなります。

逆に、求人誌に載っている社員さんの写真を見ただけで「今週もまた会えたね。」と、どこの企業か分かってしまうような、求人はいつまでも掲載し続け、いつまでも求職者からの応募はないことになります。

多くのライバルが応募がない…応募がないと嘆きつつも、努力する方向性がちょっとズレてしまっている今だからこそ、もう少し一生懸命に求人内容を考え抜いて構成するだけで、成果に結びつく可能性はグッと高まるはずです。頑張って試してみてください。

何を考え抜けばよいのか分からない。まずは求人を考えることが苦手だ。その他さまざまな社員採用に関するご質問・ご相談がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

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ひとこと
『彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し』…孫子の言葉。人事・採用の担当者の方は考えてみましょう。

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