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5.62018
子どもの減少と新卒採用について
5月5日は「こどもの日」ということもあり、子どもの数の移り変わりについて、総務省からの統計発表がありました。総務省推計によりますと、15歳未満の子どもの数は1553万人と前年度から17万人減という結果になっています。単純計算すれば、一歳あたり100万人前後というところでしょうか。また、この減少傾向は37年連続ということであり、団塊ジュニア世代以降は、常に出生数が前年比マイナスで推移しているということを意味しています。
第二次ベビーブームである団塊ジュニア時代には、15歳未満の子どもの数が2800万人いたことを考えると、約40年の間にピーク時から4割以上、人数にして約1300万人減少したことになります。東京都の人口が1,380万人になりますので、首都ひとつ分に近い子ども達が国内からいなくなったイメージです。
1990年代といえば、今の社会や会社の中堅どころである団塊ジュニア世代前後が社会に出た直後になります。一学年200万人弱が仕事をし始めた当時と比較すれば、現在の一学年が120万人弱しかいませんので、単純に80万人の人間が労働市場から消えてなくなった計算になります。佐賀県の全人口とほぼ同数の若者がいない中で採用活動を行っている様な状況ですので、想像するだけで採用が厳しくなっていることが理解できるかと思います。
その後、.comバブルやリーマンショックを含めて、新卒採用に波があったのは確かですが、現在の人手不足は社会システムの変化や、景気の波という状況によるものではなく、残念ながら「構造的な原因」によるものです。
東京オリンピック後に、景気の波が一段落すれば、また買い手市場に戻ってくるとの意見もありますが、構造的な原因が解消される訳でもありませんし、今後数年の間にロボットやAIが、人間に置き換わる可能性も低いので、CIENSとしては人手不足の状況は、まだ10年程度は最低でも継続すると予測しております。
また現在、企業の意思決定を行っている主に50代以上の方達にとっては、バブル崩壊後の失われた20年、すなわちデフレ景気の間に仕事をされてきた方達が中心です。その期間については、新卒採用は「買い手市場」を推移してきました。
この買い手市場の意識を根本的に変化させることなく、現在の厳しい状況下で漫然と新卒採用を行ったとしても、誰もが名前を知っている大手企業でない限りうまくいくはずがありません。この状況は、今まで経験したことがない事態であることを理解して、新卒採用を計画していかなければ、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉が示すとおりに、経験に学ぶ愚者になることでしょう。
貴社の新卒採用について、意識改革、マンネリを打破した活動が本当にできていますか?