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7.152018
「非正規労働者数が過去最高」の実態から採用を考える
総務省が発表した、2017年の就業構造基本調査を元に、各種メディアでは非正規雇用者が過去最高であったことから、雇用の不安定化が進んでいるといった意見が喧伝されていますが、果たして本当なのでしょうか?
本ブログでは、実際のデータを紐解きながら、内容を確認してみたいと思います。
今回発表があった、就業構造基本調査を見ると働く人全体の数を表す、有業者数は、2012年の全体調査と比較すると179万人増えて6,621万人になっています。このなかで、パートや有期契約、派遣社員などの非正規労働者は2,133万人で確かに過去最高とはなっていますが、前回調査の2,042万人から増えた非正規労働者の数は91万人、割合にすると増加した有業者数のうちの、50.8%になります。単純に言い換えれば、88万人、49.2%の方は正規雇用として増えているという計算です。
もう少し詳細を確認して、年齢階層別の非正規労働者の割合をみていくと、非正規として増えている年齢層は、15~24歳の若年層と、65歳以上のシニア層になっています。逆に、それ以外の年齢階層においては、非正規の割合が減少している状況です。
また、非正規と一括りにされている内容も、パート社員数は997万人と前回調査から41万人増、アルバイト417万人(前回比22万人減)、契約社員は291万人(前回比±0)、派遣社員134万人(前回比44万人増)となっています。そこから、単純に考えると派遣社員数は大きく増えているので、やはり雇用は不安定化していると考えることも可能ですが、実際にそうなのでしょうか。
ここで別の資料となる、一般社団法人 日本人材派遣協会が発表している2017年の派遣の現状に関するデータを見てみると、確かに2012年の派遣社員の数は90万人となっています。しかし全体を見てみると、リーマンショック前の派遣労働者の数は145万人、その後リーマンショックや東日本大震災、法律では日雇い派遣の禁止等の流れを受け、最も派遣労働者の数が減少したのが2012年の90万人であり、翌2013年には124万人まで増えています。その後、徐々に増加を続け2017年に134万人になっているというのが流れです。
また非正規と言えば、なんとなく派遣労働者というイメージが付いてしまっており、メディアの発表だけを見ると、派遣労働者が2,000万人以上いるかの様な錯覚も覚えますが、実際の派遣社員の割合は、有業者数全体の2%にしか過ぎません。
これらの数字から、企業が社員採用を考える時に大切なことは、非正規の割合が増えているから、まだ派遣や契約社員でも採用できる。という誤った考えを持つのではなく。20代から50代までの非正規労働者数は減少しており、非正規雇用採用は難しくなることが自明の理であるから、どの様な手を打つのか?ということです。
メディアの発表には、各メディアが伝えたいバイアスが必ず影響します。そのことを理解せず、単純に記事を鵜呑みにして、今まで通りの採用方法を続けていると、更なる採用難に向き合うことになるとCIENSでは考えます。
「他社よりも、一歩先に動き始める。」
社員採用の鉄則の一つです。ぜひこの機会に、会社の組織構築の為の採用について、お考え下さい。